介護施設・老人ホームの入浴回数は何回?家族が知っておきたい基準と確認のポイント

介護施設や老人ホームでの入浴は、清潔を保つだけでなく、皮膚トラブルの予防や血行促進、気分の安定など生活の質に直結する大切なケアです。

この記事では、特養・ショートステイ・老健・特定施設(有料老人ホーム)に共通する「原則、週2回以上」という最低ラインを、専門用語をできるだけ避けてわかりやすく説明します。

体調や創部の状況で入浴が難しい場合に一時的に清拭へ切り替える考え方、計画書や記録で確認しておきたいポイント、もし週1回にとどまっていると感じた時の相談の進め方まで、利用者とご家族の視点で整理しました。回数だけでなく、方法や配慮を含めた“質”を一緒に見守ることが安心につながります。

入浴回数の基本ルール

介護保険の施設やサービスには、いわゆる運営基準で「原則、週2回以上の入浴」が求められています。体調や傷の保護など、入浴が適切でない場合は清拭(体を温かいタオルで拭いて清潔を保つケア)で代替できますが、理由のない状態で週1回にとどめる運用は原則として基準違反となります。

施設ごとの目安

施設の種類が違っても、入浴の回数についての考え方はほぼ同じです。いずれも「週2回以上の入浴、または清拭」が最低ラインです。

施設・サービス家族向けの目安(要点)
特別養護老人ホーム(特養)週2回以上の入浴が基本。入浴が難しい期間は清拭で清潔を保ちます。
短期入所生活介護(ショートステイ)短期間の利用でも週2回以上が基本。連泊時は計画的に実施します。
介護老人保健施設(老健)施設の構造や浴室の種類に関係なく、入所者が週2回以上入浴できる体制が必要です。
有料老人ホーム(特定施設入居者生活介護)週2回以上の入浴支援または清拭を提供することが原則です。

※介護保険で定められた施設の場合は運営上の基準が決まっていますが、上記は条文・通知の趣旨を、一般向けに言い換えたものです。

参考:介護施設・特養などの入浴回数は週何回?週1回入浴だと基準違反(介護健康福祉のお役立ち通信)

「清拭」でもよいのはどんな時?

清拭とは、体を温かいタオルで拭いて清潔を保つケアです。発熱や創部保護、感染症対策など、医学的・衛生的な理由がある時に限られます。清拭は入浴の代わりではなく、一時的な代替手段という位置づけです。清拭に切り替える際は、個別のケア計画に理由と期間が記載され、状態が整い次第、再び入浴に戻すのが基本です。

入浴が週1回以下になってしまっていると感じたら

まず、なぜ入浴回数が減っているのかを管理者や職員に確認しましょう。体調・安全面の理由があるのか、人手や設備の都合なのかで対応が変わります。体調が理由ならば、理由と期間、代替ケアの内容を確認しましょう。長引く場合には、施設サービス計画(ケアプラン)などの計画上のケア方法も変更される必要が出てきます。

人員や運営の都合が主な理由で恒常的に入浴回数が落ちている場合は、速やかな是正計画の説明を求めてよい場面です。説明してきたように、入浴の回数は週2回以上という基準があるので、場合によっては市区町村や都道府県などが監査し、不正や基準違反がある場合にはその事業所に行政処分が下る可能性もあります。

回数だけではなく「質」も大切です

入浴は清潔保持にとどまらず、眠りや食欲、血行、気分の安定、皮膚トラブル予防などに影響します。個浴や機械浴など、その人に合った方法で安全に気持ちよく入れるか、声かけやプライバシー配慮は行き届いているかなど、質の部分にも目を向けると安心です。

行政処分のニュースを見たときの受け止め方

全国では、週2回以上の基準を満たさなかったことが原因で行政処分となる事例が出ています。新規受け入れの停止や介護報酬の減額など、施設運営に重い影響が生じるため、施設側も本来は強い注意を払っています。しかし、介護施設の入浴については、家族などがずっと確認できるわけではないので、知らないうちに回数などが入れられてしまっている可能性もあります。

ご家族としては、「計画(ケアプラン)と実際の提供が一致しているか」「代替時の記録は適切か」を確認すると、早期に気づきやすくなります。

まとめ

介護施設の入浴回数は、原則として週2回以上が最低ラインです。体調の理由で入浴できない時は清拭で代替できますが、理由のない週1回運用は原則NGです。気になる点があれば、計画書や記録を一緒に確認しながら、理由・期間・代替ケア・再開の見通しを説明してもらいましょう。入浴は生活の質と尊厳に直結します。回数と質の両面で、ご本人に合ったケアが続いているかを、一緒に見守っていけると安心です。

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