「終の棲家」という表現の注意点とは?わかりやすく解説

「終の棲家」という表現は、人生の最期を過ごす住まいを意味しますが、消費者庁の公正表示ガイドラインでは不適切とされています。本記事では、「終の棲家」という言葉がなぜ誤解を招くのか、その理由をわかりやすく解説します。また、HITOWAケアサービス株式会社の有料老人ホーム「イリーゼ」での事例も紹介し、消費者が安心して最期の住まいを選ぶためのポイントをお伝えします。

終の棲家とは?

「終の棲家(読み方:ついのすみか)」とは、人生の最期を過ごす住まいを意味します。多くの高齢者やその家族が、この言葉に安心感を抱き、ここで最期まで過ごせるという期待を持つことが一般的です。しかし、消費者庁の公正表示ガイドラインでは、この表現が誤解を招く可能性があるとして問題視されています。

「ついのすみか」とは?最期を迎える場所はどこがいい?

終の棲家の表現が不適切とされる理由

誤解を招く可能性

「終の棲家」という表現は、消費者に対してその住まいが最期まで居住可能であるという誤解を与える可能性があります。実際には、健康状態の変化や介護の必要性により、他の施設への移動が必要となる場合もあります。このように、現実的な状況と表現の間にギャップが生じることで、消費者が誤った期待を抱くリスクがあります。

法的保障の欠如

「終の棲家」という言葉には法的な保障がなく、消費者がその住まいで最期を迎えることを保証するものではありません。このため、消費者に対して誤った期待を持たせる可能性があり、公正表示ガイドラインでは注意を促しています。

適切な情報提供の必要性

消費者が正しい判断をするためには、住まいの実際の条件やサービス内容について正確な情報が提供される必要があります。「終の棲家」という表現は、こうした情報提供を曖昧にし、消費者が適切な判断を下す妨げとなる可能性があります。

HITOWAケアサービス株式会社の「終の棲家」の表現の事例

HITOWAケアサービス株式会社が運営する有料老人ホーム「イリーゼ」でも、「終の棲家」としての表現が問題となった事例があります。「終の棲家として暮らせる重介護度の方へのケア」と記載し、「寝たきりなど要介護度が重い方もお過ごしいただくことができます。ご希望の方には医療機関と連携しご家族様のお気持ちに寄り添いながら見取り介護にも対応しております。」とパンフレットに記載されていました。

実際の運用との乖離

しかし、実際には入居者の行動が他の入居者や従業員の生命や賃貸に危害を及ぼす場合や切迫した恐れのある場合、通常の介護方法では防止できない時には、入居契約を解除することがあるとされていました。このような状況は、景品表示法に違反すると判断されました。

消費者への影響

この事例は、消費者に対して誤解を与える表現がいかに重要な問題であるかを示しています。入居を検討する際には、施設の実際の運営方針や対応についてしっかりと確認することが大切です。誤解を避けるためにも、施設側には正確な情報提供が求められます。

HITOWAケアサービスの有料老人ホームイリーゼは、全国に100施設ほど展開しており、実際に看取り介護にも取り組んではいますが、全てのケースでそれができるかというとそうではないという状況です。これはイリーゼに限らず、多くの老人ホームで当てはまると思います。

日本では本当の「終の棲家」はなくなりつつある

今回の事例のように、日本では無条件に人の死を受け入れてくれる「終の棲家」となってくれる施設や場所はなくなりつつあります。高齢者向けにアンケートを取った結果によると自宅で最期を迎えたいという人が多数であることに対して、実際は病院で亡くなることが大半となっています。介護保険上は、居宅サービスでも施設サービスでも看取りに関する加算をつけて、職員や事業者に負担のかかる看取りをすることで介護報酬上もインセンティブがあるようにしていますが、それでもかなり準備をして頻繁にご利用者の様子を確認したりしないとならないため難しいのが現状です。また、日本では延命に関する医療的な介入手段がいろいろあるため、最期を迎えるタイミングが来ても、ご本人や親族の人たち、医師も含めてしっかりと意思確認ができていないと、状態が悪化したときに医療機関に入院したり救急搬送したりするような選択肢が選ばれてしまい、延命処置が行われてしまいます。

まとめ

「終の棲家」という表現は、消費者に誤解を与える可能性があり、公正表示ガイドラインでは使用を避けるべきとされています。HITOWAケアサービス株式会社の事例からもわかるように、誤った期待を持たせることは消費者にとって大きな問題ですが、事業者としては最期を迎える場所としてできるだけのサービスを提供したいという思いもあります。「終の棲家」という昔から使われる言葉ですが、必ずそこで最期を迎えられるという条件でしか使えない言葉に近づいていしまったのでハードルが上がりました。

終の棲家という言葉から、最期の迎え方そのものをどのように考え具体的に対応していくかを明確にしていかなければ、今の日本で自分からアクションを取らない限りは自分の死に場所は医療機関になってしまう可能性が高いです。高齢者施設や老人ホームを検討する際には最期まで過ごせるのかと、どんな時には契約を解除される可能性があるのかなどについてもしっかりと説明を受けることが必要な時代となっています。

 

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